昨夜カカシ先生から連絡を受けて、翌日指定された場所へ向かった。
木の葉の里の中心街、人通りの多い所でもカカシ先生の姿は凄く目立つ。
だって行き交う女の人達の視線、独り占めだもん。

「カカシ先生!」

わざと離れた場所から先生の名前を呼ぶと、開いていた本を閉じて軽く手を上げてくれた。

「遅いぞ、。」

瞳を細めて優しい声であたしの名前を呼んでくれる・・・ちょっとした優越感。

「すみません!」

緩みそうになる頬を引き締めて、改めて人混みをすり抜けてカカシ先生の前に立つ。

「出掛けにちょっと色々ありまして・・・」

「どうせまた何かドジやらかしたんだろ。」

コツンとカカシ先生の手があたしの頭を叩いたけれど、それはいつもの事。

「あはは、やっぱ分かります?」

「・・・肘、擦りむいてるぞ。」

「あ゛」

出掛けに転んじゃって、あらかた手当てをしてきたのに肘だけ見逃したか!

「・・・ったく、小さな怪我でも甘く見るなって言ったろ?」

「あははは・・・」

「ほら、薬塗ってやるから手ぇ貸せ。」

「いっいいですよ!」

こんな人混みの往来で子供みたいに手当てしてもらうなんて恥ずかしい。
あたしは両手を背中に回してカカシ先生の申し出を丁重にお断りする。

「掠り傷ですから!」

「女が体に傷残しとくもんじゃないよ。ほら、早く。」

催促するようにカカシ先生の手があたしの方へ伸びてきたので一歩後ろに下がる。
何か今日、カカシ先生やけに面倒見よくない!?

「平気ですってば!」

「オレが平気じゃないの。」

「え?」

「・・・オレが、の怪我治してやりたいって言ってんの。」

そう言われた瞬間、思わず体の動きが止まった。

「ほら、手・・・出しなさい。」

幼い子供のように、カカシ先生に言われるまま後ろに回していた手を差し出す。
よしよしと言って腰から小さな薬壺を取り出すと、塗り薬を指につけてそのままあたしの肘へすり込む。

「っ!」

「すぐ終わるからじっとしてろよ。」

少し腰を落としてあたしの手を持って丁寧に薬を塗りこむ先生。
体が震えるのは、傷口に塗りこまれた薬がしみるからじゃない。
いつも優しいカカシ先生が、いつも以上に優しい事に驚いているから・・・。
手当てをしているカカシ先生を横目で眺めていたら、あっという間に手当ては終了してしまった。

「・・・おしまい。」

「ありがとう・・・ございます。」

「どーいたしまして。」

さっきまで血がにじんでいた部分は、血止めの薬によってすっかり止まっている。
さすがツナデ様が考案された薬だなぁ・・・今度あたしも医療班に貰ってこよう。
のんびりそんな事考えてるあたしの頭上を、一羽の鳥が飛んでいった。

「「あ」」

それは火影様が上忍を呼び出すための鳥。
・・・と言う事は、カカシ先生はすぐに火影様の元へ行かなきゃいけないって事。

「・・・呼び出し、ですね。」

「だな・・・あー、悪いな折角来て貰ったのに・・・」

「いいですよ。今日はカカシ先生が待ち合わせ場所に先に来てくれてたって事だけで充分嬉しいですから。」

「・・・嬉しいこと言ってくれる。じゃぁそんなにもうひとつプレゼント。」

「え?」

驚くよりも先にあたしの視界が黄色に染まる。
あたしの視界をうめたのは、夏を先取りするかのように大きく花開いているひまわりの花だった。

「三周年、オメデト。」

「え、えぇー!?

「確か今日だろ?お前がやり始めたサイトが三年目を迎えるの。」

「あ、うん・・・って、なんでカカシ先生知ってるの!?」

の事ならな〜んでも知ってるよ。」

あたしの大好きな笑顔を浮かべたカカシ先生が頭を撫でながらそう言った。

「本当はこの後メシでもって思ったけど・・・それはまた今度な。」

「・・・う、うん。」

まだ驚きの方が大きくて上手く先生に言葉が返せない。
まさか先生が覚えてくれてるなんて、知ってるなんて思わなかった。
趣味で始めた事だから特に言った事なんてなかったのに・・・。
嬉しくて嬉しくて潤みそうになる瞳を隠すのに、貰ったばかりのひまわりの中に顔を埋める。
そんなあたしの頭を慰めるようにぽんぽんと叩くと、いつも以上に優しく温かな声が聞こえた。

「・・・早く終わったらまた連絡する。」

「・・・はい。」

カカシ先生を見送らなきゃと思って顔をあげると、至近距離に・・・先生の顔があった。

「・・・ひまわりと一緒に家で待っててくれ。」

耳元に囁くと同時にカカシ先生が素早く口布を下ろして、あたしの頬に唇を当てた。

「!?」

ビックリして頬を押さえても、すでにカカシ先生の姿はその場にはない。





三周年、と言う言葉通り・・・先生はあたしに三つのプレゼントをくれた。

ひとつ、待ち合わせ場所であたしを待っていてくれたこと
ふたつ、大好きなひまわりの花束をプレゼントしてくれたこと
そして最後のひとつは ――― 頬に残る・・・あたたかな温もり





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え〜っと、充さんのサイトが三周年だという事でお祝いに押し付け・・・もとい、お送りした品です。
まさに発掘作業をしていて発見した品です(笑)
微妙に無理がある気がしないでもないが、お祝いしたいって気持ちだけは詰まってます(><)
・・・っていうか、オチが・・・オチが(汗)
多分、今充さんに向けてカカシ夢を書くとしたら・・・もっとリアルになるかもですねぇ(ニヤリ)
え?何でかって?いやぁ、だってこれを送った時よりもオフで会って話したりしてますからねぇ(笑)
今更こんな所であれですが、いつも色々素敵品ありがとうございますm(_ _)m